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2007.02/26(Mon)

空から降ってきた絵本 vol.1

今日は日曜日。
外はシトシト雨が降っている。
私は買い物にいくのをやめて、部屋でゆっくりすることにした。

「雨・・・、あれからもう十七年も経つんだ・・・」

私はあの懐かしく、とても不思議な出来事を思い出していた。

「ちょっと、見てみよう」

『トモコ:本/DVD・CD』と、マジックで書いてあるダンボール箱の梱包をほどき、
中から一冊の本をとりだした・・・。

小学3年生の夏休みあけ、私は転校生だった。

とても人見知りだった私は、夏の名残りが消え去って、秋の気配が深まっても、
新しい学校でなかなか友達ができなかった。

放課後はいつも家の近くの公園で一人で過ごした、
新しい家は、売り出して間もない新興住宅地だったせいで、
人が住んでいる家もまだ少なく、
この公園で遊ぶ子供はほとんど居なかった。

おかげで新品同様のすべり台もブランコも鉄棒もひとりじめできた。
でも、ひとりぼっちはつまらなかった。
特にシーソーはまたがるだけで悲しくなった、
なんだか悔しくてシーソーを使った新しい遊びを考えた。

シーソーのとなりにジャングルジムがある。
シーソーの下がっているほうに落ち葉をいっぱいのせて、
ジャングルジムのてっぺんからシーソーの上がっているほうへ飛び下りる。
その勢いでシーソーを跳ね上げて落ち葉を高く舞い上がらせる、という遊び。

小学3年生の女の子にしてはちょっと危険だったけど、
私はその遊びをすごく気に入っていた。
飛び下りた時に、ドーン!となるのが、
ひとりぼっちの私を泣かそうとするシーソーに仕返ししているようで、
気持ち良かった。

ある日、いつものようにシーソーに落ち葉をたくさんのせて、
ジャングルジムのてっぺんに登った、
すると、なんだか不思議な空が見えた。
空の高いところは、今にも雨を降らせそうな黒々とした雲が覆っているのに、
下半分は夕焼けで真っ赤に染まっていた。
絵の具で塗りわけたように、
くっきりと二色にわかれた空はとてもキレイで少し恐かった。

私は夕日に照らされながら、いつもより高く高く飛び上がりシーソーに飛び下りた。

ドーーーン!!

高く高く舞い上がった落ち葉たちが真っ赤な夕日に照らされ、
それを見上げてまぶしさに目を細めた・・・。

すると、ひらひらと舞い落ちてくる落ち葉たちにまじって、
一冊の本が降ってきた・・・。

バサッ!!

一瞬の出来事に何がなんだか分からず、何度も何度も目をこすった。
「えっ、何?・・本?どうして?」

誰かが投げたのだろうか?辺りをキョロキョロと見回した。
まわりには誰もいなかった。
私は恐る恐る本に近づいた。
真っ赤な表紙の本だった。

気が付けば夕日も沈み、夜がそこまで迫っていた。
私はその本を確かめもせずに、さっと手にとり、一目散に家まで走った。

「ハアーハアー、ハアーハアー、」

家につくと足がガクガクと震えていた。
なんだかすごく悪い事をしてるみたいだ。

「おかえり、どうしたの?そんなに息切らして。なにかあったの?」

夕飯の支度をしているお母さんが、廊下の奥のキッチンから顔をだした。

「なんでもないよ雨が降ってきそうだったから走っただけただいまっ」

本を背中に隠しながら一息で言って、手を洗いなさいというお母さんの声から
逃げるように二階へと駆け上がった。
部屋に入って扉を閉めるとベッドに飛び込んで、頭からすっぽり布団をかぶった。
心臓がドッドッドッドッと生まれてはじめてのスピードで鳴っていた、
その音があまりに大きく感じて、
下にいるお母さんのとこまで聞こえるんじゃないかと心配になった。
たまらずに両手を重ねて左胸をおさえ、
そのままじっと心臓がおとなしくなるのを待った。
目を閉じて、深呼吸を7回した。
それから、ゆっくりとベッドのうえに座り直し、
本をヒザの上にのせた。
まだちょっとドキドキしてる。

本は薄いのになぜかずしりと重い。
表紙は真っ赤でなんにも書いていない、手触りはつるつるすべすべしている。

こうして落ち着いて、あらためて自分の部屋でみると、
これが空から降ってきたなんてちょっと信じられない。
やっぱり誰かが投げたのかな?

なんとなく匂いを嗅いでみた・・草の匂いがする。
・・・よく嗅いでみたら落ち葉拾いで手についた葉っぱの匂いだった。

「手、洗わなきゃ」

念のため、もういちど深呼吸して、それから、そっと表紙をめくった。
・・・・・・・
けれど、
そこには何もなかった。
いくらめくっても真っ白なページしかなかった。

「・・・・。なんだ、何も書いてない」
ひどくがっかりして、最後のページをめくった。

すると、一枚の紙切れが出てきた。
そしてその紙にはこう書いてあった。

『トモコちゃんへ
 この本をあなたのために。
 雨のふるひによんでください。
 あなたの幸せを、いつもねがっています。
           タナカケンイチより』

「トモコちゃーん。ご飯できたよー、降りてきなさーい」
お母さんの呼ぶ声に、
慌てて紙切れと赤い本を机の引き出しにしまった。

・・・つづく
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