1. 無料アクセス解析

10月≪ 2017年11月 ≫12月

123456789101112131415161718192021222324252627282930
--.--/--(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑
2007.11/01(Thu)

3匹目のこぶた vol.3

初めてのテレビ出演で、しかも生放送ということもあり、
ミツキはかなり緊張しているようだった。
そこを司会者に軽くつっこまれている。

近々公開される、自身の主演映画の宣伝のための出演なので、
撮影中のエピソードなどを話した。

「映画の撮影のときは緊張しないの?今日はずいぶん緊張してるみたいだけど?」

「映画でもします、もちろん。あっでも、そんなときはこうします」
ミツキは自分の左胸を指でぐいぐいと押してみせた。

「へっ?なにそれ?なにやってんの?」

「こうすると、落ち着くというか、大丈夫になるんです」

「へぇ~変わってんねー。なにかあるの?そこに」
言いながら司会者も自分の左胸を押している。

「ありますけど、でも、秘密です。ふふふ」

「あるんだ?なんだろ気になるな~」

「あっ、押してたら大丈夫になってきました」

「ほんとにあるんだ。へ~ぇ、でも、なんだか、あれだね、
 映画の印象とだいぶ違うね」

「あ、はい、すいません」

「いやいや、いいよ面白いから、あやまるようなこっちゃないよ」

「あぁはい」

「え、じゃあオフの日とか何してるの?なんか変わった趣味があるとか?」

「オフの日は、だいたいおウチで映画見てます。DVDで」

「そこはふつうだね」

「はい」

「どんな映画が好きなの?」

「最近は古い映画ばかり見てますね、自分が生まれる前のとか、
 今見てもおもしろいんですよね」

「そうだねぇ、古くても面白いのものは面白いよね。
 それじゃあ、男性はどういう人が好きなの?」

「と、唐突ですね」

「ある?タイプとか?」

「えと、3匹目のこぶた、です」


僕は食堂をでると、事務所へは歩いて帰ることにした。
その間、ずっと考えていた。
いや、もっとずっと昔から考えていた、僕は答えを探し求めていた。

幼い頃、父さんのいない理由を母さんに尋ねた。
母さんはいつも、父さんは脳卒中という病気で亡くなってしまったのよと答えた。

僕は、父さんが死んでしまった原因じゃなく、理由を知りたかった。
けれど、僕がそれを聞くたびに、母さんが悲しい顔をすることに
気付いてからは訊くのをやめた。

母さんが死んだ時、まわりの大人に訊いた。
警察の人、病院の先生、事故を起こした相手の弁護士。

「どうして母さんは死んでしまったの?」

「歩道を歩行中、後方から来た乗用車に撥ねられたから」
「30メートル撥ね飛ばされて、頭から地面に叩き付けられたから」
「酔っていたが、走り慣れた道だから、大丈夫だと思ったから」

やっぱり、誰も母さんが死ななきゃいけなかった理由を教えてくれなかった。
わからないまま、時々スイッチを押して、ずっと考え続けてきた。

でも、気付いてしまった。
何も悪いことなどしていなくても、
何も間違ったことなどしていなくても、
人は死んでしまう。

けれど、残された者は失ったものが大きすぎて、
原因だけでは納得出来ず、理由を探し、答えを求めてしまう。
きっと、その人が生きていた意味まで失ってしまう気がするから。

僕は今日、自分が何の為に生まれてきたのかを知った。

僕が生きていく事に意味があるのなら、
僕を生んで育ててくれた両親たちにも、
生きていた意味をみつけることができた。
だから、失った理由を探すことはもうやめる。

これからは、大切なものを手に入れるために、
そして、それを手に入れることが出来たならば、
それを守るために、僕は生きて行こう。

きっと、深い悲しみを知り、そこから逃げずに、生きようとする者は、
悲しみの深さと同じだけ、強くなれるはずだから。

準備なら出来ている。
僕のデスクのカギのかかった引き出しの奥、
その図面はもう仕上がっている。
あとは、ふたたび巡り会うだけだ。

気がつくと、いつのまにか自分の事務所が入っているビルの前まで戻ってきていた。

ビルの前に、真っ白い大きなワンボックスの外車が停まっている。
その車の脇に一人の女性が立って、僕の事務所の看板を見上げている。

僕はその手前で立ち尽くし、その女性の細い肩を見ていた。

彼女は僕の視線に気付くとこちらを振り返った、
そして僕を見ると、目を三日月のように細めた。

僕の事務所の名前は『サード・ピグレット建築デザイン』
サード・ピグレット。
3匹目の、こぶた。

看板には、レンガを積み上げるこぶたのイラストが小さく書いてある。
彼女はそのこぶたを指さして、ふふふと笑った。


・・・おわり
                    作:ナカガワマサヒト
スポンサーサイト
23:47  |  3匹目のこぶた  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

こんばんは、初めましてさくらPaPaです
Blog 初心者(2ケ月)です
宜しくお願い致します。☆彡
さくらPaPa+≡⊂⌒⊃≡+Slow+life | 2007.11.02(金) 21:45 | URL | コメント編集

●管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2007.11.03(土) 16:50 |  | コメント編集

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示
 

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。