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2008.10/05(Sun)

チェレステ vol.8

ランチタイムが終わり、お客さんがいなくなった店内で、
シェフの小熊みたいなおじさんと向かい合って座った。

「外で待ってなくて良かったのに」
「お昼、忙しいですよね。すいません」
「いやいや、気にしないで大丈夫だよ。履歴書はあるかい?」
「あっ、ありません・・・すいません」
「よし、じゃあ、まず僕がシェフでオーナーの佐木田啓次
 向こうにいるのが妻でホール担当の瑛子」

奥でグラスを磨いていた瑛子さんが微笑みながら軽く頭をさげた。
僕も頭をさげて、それから啓次さんのほうへ向き直して言った。

「僕は新田フミオです」
「新田フミオくんね。高校生?」
「はい、高一です」
「料理の経験はある?」
「いえ、ありません」
「なくても平気だけど。ウチみたいな小さな店でも厨房の仕事は結構キツいよ」
「頑張ります」
「じゃあ、どうしてウチの店でバイトしようと思ったの?」
「それは・・」まっさきに四ノ宮さくらの顔が浮かんだ。
「それは、この前ここで食べた蟹のペペロンチーノに感動したからです」

そこから僕はペペロンチーノに四ノ宮さくらへの想いをこめて語った。
一口食べた瞬間に心奪われ、虜になり、どれほど恋焦がれていたかを、
身振り手振りを交え、熱く、熱く語った。
僕は四ノ宮さくらとの切れかけた運命の糸を結び直し、
手繰り寄せようと必死だった。

僕の蟹のペペロンチーノにこめた彼女への想いが啓次さんの胸に響いたのか、
話し終えると啓次さんは小熊そっくりのつぶらな瞳にうっすらと涙を浮かべ、
何も言わず右手を差し出した。
僕はその手を両手で掴み、ガッチリと握手をした。


・・・つづく
            作:ナカガワマサヒト
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