1. 無料アクセス解析

08月≪ 2017年09月 ≫10月

123456789101112131415161718192021222324252627282930
--.--/--(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑
2008.11/17(Mon)

チェレステ vol.9

翌朝、日曜日。
台所へ下りて行くと、父さんがリビングであぐらをかいて新聞を広げている。
休日の朝のいつもの光景だ。

おはようと声をかけ、
インスタントコーヒーでミルクたっぷりのカフェオレを作り、
ダイニングテーブルの椅子に座った。

僕はまだ寝ぼけた頭で、新聞を読む父さんをぼんやりと見ていた。
父さんは新聞のどんな小さな記事も漏らさず読む。
父さん曰く、毎日、きちんと隅から隅まで新聞を読んでいると、
この世界の少し先が見えるんだそうだ。

まだ読みかけの世界の未来をたたんで父さんが僕の前に座った。

「コーヒーだけか」

「うん、あんま腹へってない」

「学校はどうだ」

「普通にやってる。それよりバイトすることにしたから」

「何やるんだ?」

「イタリアンの厨房」

「味は?」

「絶品だね」

「そうか・・」と、そこでなぜか不敵な笑みを浮かべ、
おもむろに席を立つと、キッチンへ入っていった。
食パンの枚数を確認して冷蔵庫をからバターと牛乳、玉子を三個とり出した。

「フレンチトースト作るぞ!」

そう宣言するとボウルに手際よく玉子を割り、そこに少し牛乳を入れた。

「ほら、玉子とけ」

「いらないんだけど」

「いいから、早くとけ」

仕方なくのろのろと立ち上がり、キッチンに入って玉子をといた。
といた玉子に食パンをひたして、父さんがフライパンで焼く。
バターと玉子の焼ける、ほんのり甘くて香ばしいかおりがする。

「皿と砂糖」

大きめの白い皿を出し、そこに焼けたパンをのせて砂糖をかける。

「たっぷりな」

「わかってるよ」

砂糖をたんまりとまぶしたパンの上に、新しいパンをのせる。
そこにまた砂糖をかける。
そうして出来た四段重ねのフレンチトーストを、
対角線にざくっと切って完成。

二人分のコーヒーを新しくいれて席に着く。
腹はへってなかったのに一口食べると止まらなかった。
ふたりで黙々と食べ、あっという間に最後のひときれになった。
視線で食べていいかと訊くと、父さんはうなずいた。
僕は最後の一切れを頬張りながら「うまかった」と言った。

父さんは満足そうな表情でコーヒーをひとくち飲むと、
再び不敵な笑みを浮かべた。

「よし、今度はおまえの番だ」

自然と眉間にシワがよる、いったい何の番だ?

「しっかり働け、そうして絶品イタリアンを父さんに振る舞え」

僕は眉間のシワを一層深くしながらフレンチトーストをコーヒーで流し込んだ。
しかし、そこでふと思い出した。
僕がまだ幼稚園に通っていた頃、一度だけ父さんが迎えに来た時のことを。

・・・つづく
            作:ナカガワマサヒト
スポンサーサイト
03:17  |  チェレステ  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

●承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
 | 2012.11.03(土) 14:42 |  | コメント編集

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示
 

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。